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2015年5月7日木曜日

住宅ローンは借りた方が得だろうか。そしてどこで借りるのがよいか(2015年5月)

このところ書くネタもないので放っていたのだが、ちょっと気になって住宅ローンを調べていたのでまとめておくことにする。正しいかどうかはあまり自信がないので、半信半疑ぐらいで見ておいて欲しい。

2015年の段階では、住宅ローン控除が借入額の1%、10年間つく(借入額上限4000万円)。従って、10年間で最大400万円、税金が戻ってくることになる。一方で、現在の住宅ローンの金利は驚くほど低く、新生銀行で変動が0.880%(ただし、半年後は1.2%)、イオン銀行で変動が0.570%と1%を切っている。単純に考えれば、10年間は、借りた金利よりもローン控除の方が大きいことになり、借りた方が得だ(儲かる)ということになる。

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財務省 住宅ローン減税制度の概要
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住宅ローン金利比較
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ただ、もちろんそれほど事がうまく運ぶわけもない。住宅ローンを借りる場合には、別途費用がかかるからである。この費用を考えた時、それでも借りた方が得なのか、それともできるだけ借りずに済ませた方がよいのかが決まることになる。

いくつかのサイトを見るかぎり、別途費用で大きな額なのは次の2つのようだ。

・保証料 : 年利を0.2%ほど押し上げるらしい
・事務取扱手数料 : 借入額の2.16%を最初にとる。メガバンクの多くは定額3万円程度

この他、団体信用生命保険(死亡時などに借金を棒引きにする)があるが、最近は無料のところが多いようだった。あとは、免許登録税(借入額の0.1〜0.4%程度のようだ)や印紙代(2〜6万円ぐらいか)がかかる。

みてみると、ネット銀行の多くは、金利を低く抑え、保険料も無料が多い代わりに、事務取扱手数料を借入額の2.16%とる(4000万円借りれば、80万円強の手数料となる)。対して、メガバンクの多くは、金利が高く保険料もかかる代わりに、事務手数料が3万円程度に抑えられている。ただネット銀行では珍しく、新生銀行は事務手数料も10万円程度に抑えられている。さて、どれが最も安く上がるのか。

おそらく、まずは新生銀行が試金石となるだろう。金利もそこそこ安く、事務手数料も低いからである。変動で金利は0.880%(ただし、半年後は1.2%)、これに事務手数料が10万円程度、さらに登録税など諸費用がかかる。ざっくりこんな感じだろうか。

・借入額 4000万円の場合
・変動金利 1.2%
・保証料など 0円
・団体信用保険料 0円
・事務手数料 10万ぐらい
・登録税など 10(1%+印紙代6万円)-22万円(4%+印紙代6万円)の間ぐらい

金利とは別に、20-32万円かかっていることになる。金利で考えれば、0.5-0.75%ぐらいを初年に押し上げている。ざっくり10年で割れば、0.05-0.075%ぐらいになるだろうか。変動金利が1.2%であれば、1.25%-1.275%ぐらいになる。もちろん、35年で割ればもっと小さくなる。

さて、話を戻して、住宅ローン控除は1%であったから、0.25-0.275は赤字ということになる。このままだと、得はしないようだ。

もう1つ、多くのネット銀行が採用する事務手数料2.16%の場合にはどうだろう。住信SBKの場合、変動で0.65% である。

・借入額 4000万円の場合
・変動金利 0.65%
・保証料など 0円
・団体信用保険料 0円
・事務手数料 86万4000円(4000万円×2.16%)
・登録税など 10(1%+印紙代6万円)−22万円(4%+印紙代6万円)の間ぐらい

金利とは別に、100万円前後かかっていることになる。金利でいえば、2.5%程度だろうか。これを先と同じように10年で割ると、0.25%になる。最初の支払額は多くみえたが、実質的な金利では0.9%に収まっているようにみえる。費用として、140万円ぐらいまでであれば、実質的な金利は1%似に収まる。これであれば、ローン控除で利益が出るかもしれない。0.1%で考えれば、年間4万円である。

ということで、金利が0.75%程度までであれば(別途費用が100万円として)、ローン控除で利益が見込めるかもしれないということがわかる。さらにもう1つ重要なポイントがある。それは、「あえて」借りるということの意味である。借りた方が得かどうかという問いは、借りないという選択肢もあるということだ。ようするに、別途貯金があるということになる。もし、貯金が0円ならば、家を買うためには借りるしかない。ここでの計算は安い金利を探しているというだけの話である。

極端な話、4000万円持っていても、4000万円借りることができる。これが得かどうかということである。かつてスター銀行では預金連動型ローンを実施していた。4000万円借りて、4000万円貯金しておくと、貯金した分については金利が0%になるという驚くべきサービスだった(別途保険料はかかるので、実際は0.4%ぐらいとられるが)。4000万円を借りることで、貯金の4000万円は自由に動かせることになる。例えば、これをネット銀行の定期預金に入れてしまう。現在であれば、0.1-0.4%程度の利子を見込める。先の金利の計算には、これをさらに加えることができるように思う。ローン控除1%にプラスすればよい。

とすると、新生銀行のパターンでも、実質的な金利を相殺するぐらいにはなるかもしれない。住信SBIであれば、明らかに得になるだろう。なお、この場合には必然的な結論として、35年で借りても、10年後には繰上完済する予定でいた方がよい。ローン控除がなくなれば、1%がなくなるからである。もちろん、貯金をより利率の高い運用にまわせるのならば、話はまた別だろう。

くりかえすが、備忘録がてから書いているので、鵜呑みにはしない方がよい。