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2012年12月29日土曜日

ipad mini

iBUFFALO iPad mini 【画像、鮮やか】 気泡ができにくい光沢フィルム BSIPD712FG

先日、このところ悩んでいたipad miniを買ってみた。遅いといわれそうだが、一番安い3万円を切るモデルである。使ってみた感じとしては、とにかく軽くて持ち運びに便利である。

andoroidがどうなのかわからないが、比較の対象として、元々使っていたipad2がある。先の軽いという感覚は、なによりもipad2と比べたものだ。一度ipad miniを持った後で、ipad2を持つと、こんなに分厚く、こんなに重たいのかと思ってしまう。最初にipad2を買ったときに、こんなに薄く、また軽くなるのかと思っていたのだが、人の感覚は本当に相対的で怪しい。当時の比較は、初代ipadやノートパソコンだったということだろうか。

引き続きipad2との比較でいうと、画面がやはり小さい。情報量自体は変わらず1024×768ということだから、一つ一つの表示サイズが小さくなっているということだろう。引き延ばして表示すれば良いだけだが、ボタンサイズなどは固定されているから大きくならない。ipad2に慣れていると、ちょっとボタンが押しにくいとも感じる。

このボタンの押しにくさは、もう少しいうと、おそらくipad miniのスペックの低さに関係していると思う。こちらもipad2と比べたとき、ipad miniの反応は2テンポほど遅いという印象がある。pdfで次のページを開いたり、拡大するとき、2テンポぐらい荒い表示のままにとどまっている。

まあ実際に使う分には問題はない。とにかく持ち運ぶという点ではipad2では重すぎるから、ipad miniに相当な利がある。電車の移動時間には申し分ない。ただ、スペックという点で見ると、たぶん、そのうち出るだろうipad mini2?に期待した方がいいのかもしれない。考えてみれば、ipadもipad2がひとまずの完成形だったともいえる。

iPad2 bluetoothキーボード内蔵アルミケース 【USキーボード】 ホワイト 日本語操作説明書付き i-Beans iPad 2 / 新しいiPad 用PUレザーケース ピンクドット柄 スタンド仕様+横開きタイプ アイパッド2用スタンドケースカバー PU Leather Case for iPad2 / The New iPad 液晶保護フィルム付 【全15色】 (1908-8)

2012年12月25日火曜日

直感力

直感力 (PHP新書)
羽生善治『直感力 (PHP新書)』、2012

将棋は遊びとして知っている程度だから、その道のプロがどういうレベルに到達しているのかはわからない。とはいえ、羽生さんの本は、以前にも何冊か読んだことがあるし、テレビの特集もいくつかみたことがある。たしかに、天才的な一手がどのように生まれているのかを知ることができれば、我々凡人にも大変有用であろうと思う。

そういうわけで将棋の細かい話はよくわからないのだが、一番印象深かったのは、冒頭に書かれていた「私はずいぶんと見切りが甘いらしい」という話だった。見切るということが将棋では重要になる。しかし、羽生氏自身は、この見切りが意外にも甘い、と自身で言っている。

しかし同時に、この見切りの甘さこそが、自身の強さであったかもしれないという。すなわち、多くの人が見切ってしまう手を採用してしまうということ、そして採用してしまったが上に待ち構えている困難の中で、それでもなんとか次の一手を見出そうと努力すること、これこそが、重要だったのではないかというわけである。

偉そうなことはいえないが、何となくわかる気がする。将棋に限らず、意思決定の多くは見切る作業を伴う。見切りの甘さはもちろん命取りでもあるが、なんというか、誰も見いだせなかった何かに到達は、その甘さの向こう側にある。

解釈の仕方はいくつかあるだろう。実際にやってみることで未来が見えてくるとか、あるいは、困難こそが未来を切り開くとか。そういうものかもしれないし、もう少し、ここには含蓄があるのかもしれない。もう少し知りたいと思う。

決断力 (角川oneテーマ21) 直観力―私が囲碁から学んだ生きるということ スパークする思考 右脳発想の独創力 (角川oneテーマ21)

2012年12月23日日曜日

「お金の流れ」はこう変わった

「お金の流れ」はこう変わった! 松本大のお金の新法則
松本大『「お金の流れ」はこう変わった! 松本大のお金の新法則』ダイヤモンド社、2012

  投資説明会などに出席すると、こうした話を聞くことになるのであろうか。著者は、ネット証券であるマネックス証券の社長である。

 内容は、次の通り。
1章 今、世界の経済はどうなっているのか。
2章 みんなで動けば、株価は上がる!
3章 マーケットとのかかわり方 
4章 トレーディングの死線は「情報」にあり
5章 タフな市場で生き残るために必要なもの

 ざっと読めて、しかも面白く役に立った。まず、1章と2章の内容がこの本の中心で、そのままタイトルになっている。3章から5章までは、株式市場への招待と関わり方、そこでの心構え等である。言わば、1章と2章が理論編、3章以下が実践編か。

 まず、世界で起きている重要トレンドとして、欧米諸国に偏っていた富が逆流し始めたこと、今後は「情報×人口」という掛け算で経済が伸びていくことが指摘されている。このことに関連して、「歴史的なGDP分布推計値」という珍しい資料が示されて(丸紅経済研究所の資料らしい)、大変面白い。資料によれば、16世紀から19世紀前半までは中国・インドが世界のGDPの3分の2程度を占めている。ところが19世紀後半には産業革命を経て、アメリカ、イギリス、ドイツなどの伸びが目立つ。そして、1973年には、中国とインドを合わせても11%しかない。一方アメリカは31%、ソ連14%、日本11%、ドイツ9%などとなる。これが、今後逆転して、これから再び中国・インドなど人口が多い国が経済発展する、というのである。いわば、「人口ベース経済への回帰」だ。その背景には、情報技術の発達により、情報と技術がオープンに提供されたことが大きいという。

 又、お金やものの値段についての説明も興味深かった。著者は、ものの値段はその本源的価値とは無関係である、と言う。世界には1京円(10000兆円)のお金があるらしい。それらは、「比較的いい場所」を求めて動き続けるようだ。お金が向かうところの値段は上がり、お金が抜けていくところの値段は下がる。つまり、値段というのはそのものの本源的価値とは無関係で、その器に水がどれだけ流れ込んだか、という一時的な現象を表しているに過ぎないのだと言う。しかも、1京円(10000兆円)のうち、アメリカに4500兆円、日本に1500兆円もあるのだそうだ。これらは、いずれも日本の個人の常識とかなり異なるのではないか。

 著者は本文の冒頭で、自分は経済学者ではないし、経済学を勉強したことがない、と書いている。しかし、資本市場に長年身を投じてきた金融マンとして、お金や投資のことを考えていきたい、と言う。ところで現在、経済学者や専門家と言われる人たちの話が、両極に分かれているように見える。いわゆるアベノミクスを巡って、円安株高が、今後の展望であるか、それが単なる麻薬に過ぎないのか、議論は分かれている。日本の20年来のデフレの評価も、決して一様ではない。デフレの原因も、専門家の間で主張は分かれる。

 「あきらめずやり続ける。やりながら軌道修正をしていく」という方針で進んだら、と著者は最後の方で提案している。私は、著者の言う通り、柔軟な試行錯誤がいいと思う。


私の仕事術 (講談社+α文庫) 預けたお金が問題だった。-マネックス松本大が変えたかったこと こうすれば日本はよくなる!

2012年12月20日木曜日

静かなる大恐慌

静かなる大恐慌 (集英社新書)
柴山桂太『静かなる大恐慌 (集英社新書)』、2012

先日Twitterで紹介いただいた一冊。
グローバリゼーションが必然ではないことを歴史的に指摘しつつ、遠からず予想される脱グローバリゼーションへの対応を説いている。確かに、グローバリゼーションは必然でもなければ、必須というわけでもない。その背後には、例えば、アメリカナイゼーションやら、マクドナルド化やら、対抗すべき問題はいろいろある。企業にしても、グローバル化しなければならない、というとき、そこにどういう必然性があるのかは一考に値するはずである。

教えてもらいどんなものかと思っていたのは、ロドリックが指摘するという、グローバル化、国家主権、民主政治のトリレンマであった。これらの3つは、2つまでしか選択できないという。グローバル化は、格差の問題を孕むため、国家主権か世界連邦(これは民主政治らしい)による管理を必要とする。グローバル化をやめれば、国家主権のもとで民主政治も実現できる。

著者によれば、現実問題としてグローバル化をやめることは難しいが、三つ目のグローバル化への抑制なり対応が有用である。さもなくば、遠からず脱グローバリゼーションが強まり、ブロック経済やら戦争やらといった昔と同じ問題が発生しかねない。カール・ポランニーの大転換が温故知新となる(いつのまにか新訳が)。

基本的にその通りだと思うが、難しいのは、例えば昨今のTPPを考えた場合である。正直、それがすでに脱グローバリゼーションとしての危険な運動になっているのか、それとも、その一歩手前のソフトランディングを狙う選択肢なのかはわからないような気もする。

それからあと一つ思い出したのは、去年あたりに読んだ池上x岩井のユーロ問題だった。旧来、国別に通貨があった頃は、景気が悪くなれば個別に紙幣を大量発行し、本書でも述べられているように自国安を作り出して輸出で稼いで利益を取り戻すことができた。しかし、ユーロの統一はこうした国家別の通貨戦略を無効にし、むしろ、自国の産業を淘汰してしまう力として作用した。この辺りの話とも、整合的なのかなと感じる。


2012年 池上彰×岩井克人 新春対談 お金の正体


国としては厄介な話だが、問題の焦点ははっきりしている。グローバリゼーションと、国内の格差のリスクをうまく調整するのである。ベストな解はタイミングによって変わりそうだが、どちらにせよ、グローバル化一辺倒ではうまくいかないということはいえる(同様に、保護政策一辺倒でもうまくいかないだろうが)。

p.s.
改めてトリレンマを考えてみたのだが、民主政治の位置づけが今ひとつよくわからない。本書でも、「議会制民主主義」のことと言い換えられている。このあたりは原書を見た方がいいのかもしれないが、邦訳を待っても良いだろうか。

現代社会論のキーワード―冷戦後世界を読み解く 成長なき時代の「国家」を構想する ―経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン― [新訳]大転換

2012年12月14日金曜日

新しい市場の作り方

新しい市場の作り方―明日のための「余談の多い」経営学
三宅秀道『新しい市場の作り方―明日のための「余談の多い」経営学』東洋経済新報社、2012

とても読みやすく、納得的な内容だった。東大ものづくり系からこの手の本が出るというのも興味深い。第4章のタイトルは「独自技術なんていらない」であるし、後段の信長が「茶器」の価値を創出したというくだりなどは、まさにニヤリとしてしまう(歴史好きだからではなく、ものづくりという話が、もともと性格的にあっていないからだが)。

個人的には、第3章の「「問題」そのものを開発する」というアイデア、およびそれに付随して「正しさを探しに行くな」という話が特に興味深かった。良い一節だと思ったので、たまには引用しておこうかと思う。

「私たちは問題そのものは発見の対象で、それを解決する手段こそが発明の対象と思ってしまっていることがままあります。しかし、それは錯覚なのです。実は、それを問題と思う意識自体が人間による発明なのです(87頁)。」

発見と発明の違いがよくわからない感もあるが、大事なのはそれを問題だと思う意識だということであろう。だからこそ、問題にせよ答えにせよ、外部に探しに行っても仕方がない。それは、それが問題だと感じた時点で、自分の中で最初から生まれているとしかいいようがない。

実際読んでいけばわかるが、おそらくものづくりそのものが否定されているわけではない。ものの価値こそが第一だと思う思考が否定されているのである。むしろ、ものであろうと何であろうと、「つく上げよう」という過程そのものは重要な点として残されている。


日本のもの造り哲学恋愛と贅沢と資本主義 (講談社学術文庫)戦争と資本主義 (講談社学術文庫)

2012年12月5日水曜日

経済大国インドネシア

経済大国インドネシア - 21世紀の成長条件 (中公新書)
佐藤百合『経済大国インドネシア - 21世紀の成長条件 (中公新書)』、2011

 個人的な思い出だが、2005年8月に、インドネシアを訪れた。特にバリ島は美しい島で、踊りや彫刻、ヒンズー教寺院など見るべきものが多く、いい旅が出来たと思う。ところが、その直後10月にバリ島でイスラム教徒によるテロ事件が発生、美味しい食事を楽しんだジンバランビーチでも自爆テロがあり、日本人も被害者となった。それ以来、私は、インドネシアは治安に問題があるという印象を抱いてきた。

 今回、この本を読んで、そのイメージはかなり変わった。政治を中心に、ここ数年の変化はきわめて大きいらしい。又、本来のインドネシアが、とても可能性にあふれた国であることも、改めて知った。こうなると、もう一度是非、訪問したいものだ、という感想を今は抱いている。

 さて、政治については、1997年のアジア通貨危機が大きな転機だったようだ。通貨危機の翌年、30年以上に渡り独裁政治を行ってきたスハルトが退陣。「この瞬間、インドネシアはハードランディングした。堰を切った本流のごとく、スハルト体制とは対極の方向に向かって全速力で走り出した」と、この本には書かれている。スハルト体制とは、「開発」という大義名分のもとに国民の自由を制限する権威主義体制だった。新体制では、一転して、自由化と民主化の方向にと改革が進められた。

 しかし、改革は次々と新たな混乱を生み出す。結局、その後の6年半をかけて、政治上の試行錯誤が繰り返されたようだ。その間、憲法改正が4年半で4回も行われ、大統領も3人入れ替わった。インドネシアの混乱が、一つの制度的均衡点に到達したのは、2004年であったという。初めての大統領直接選挙が平和裡に実施され、現在のユドヨノ大統領が選出された。現時点では、ユドヨノは再選されて安定した二期目の政権となっている。この経緯を踏まえつつ、「堅固な権威主義体制から安定した民主義体制への大転換を、6年半で成し遂げたインドネシアは、今後長く世界で参照される例になることだろう」と著者は高く評価している。実際、ユドヨノ大統領の下で、独立を目指す紛争が絶えなかったアチェ問題を平和裡に解決したし、イスラム過激派のテロも抑止の手立てが進んでいるようだ。三権分立が確立し、地方自治制度も整備され、汚職の摘発なども進んでいるそうだ。

 そもそも、インドネシアは実に興味深い国である。人口2億3千万人を越える世界第4位の人口大国。そのうちの2億1千万人がイスラム教徒であり、世界最大のイスラム教徒の国でもある。ただし、建国の時点からイスラム教は国教ではない。そして、国家標語がサンスクリット語で「多様性の中の統一」を意味する語が掲げられているらしい。歴史的にも、中国とインドの間にあって双方の影響を受け、まさに交通の要衝に位置していたのだ。国章が、ヒンドウー教のヴィシュヌ神を乗せて飛ぶ、神の鳥ガルーダであるというのも面白い。

 この本ではその他に、インドネシアの恵まれた資源や政治・経済指導者の成長、今後20年にわたる人口ボーナスなど、多くの発展の要因を並べている。なるほど、政治的安定を背景に、今後めざましく経済発展する可能性があるとする結論は、多いに説得力がある。一方で、民主主義や産業化など近代化が遙か前に進んだ日本は、今後、どのような発展可能性があるのか、改めて考えてしまった。

インドネシア―多民族国家という宿命 (中公新書) 消費するアジア - 新興国市場の可能性と不安 (中公新書) アジアの政治経済・入門 新版 (有斐閣ブックス)